存在が僕らの生活に挟まっているようで。
時々、我が家に顔を出す猫がいた。トキロックは当初反対していたが、僕はせっかく立ち寄って来てくれてるのだからと、玄関にほんの少しのキャットフードを置く事にした。
来た時に名前がないとあれだなとオスかメスかも確認もせず、その猫の存在が僕らの生活に挟まっているようで心地良かったことから"栞"と名付けた。
栞の姿を見れることはあまり多くないが、餌がなくなっていることで今日も来たんだなと来訪を確認出来た。そしてそれが小さな日々の楽しみとなった。仕事帰りに「今日、もう栞来た?」とトキロックにLINEするくらいに。来てない時は、夜中の2時くらいまで栞が見える部屋で待ってしまうくらいに。
栞は警戒心が強く、こっちが見つめたり、手招きするとプイッと背を向けてどこかに行ってしまう。
出来る事ならいつの日か、少しばかり触れてみたいと思ってしまっている。その僕の強欲を嗅ぎ取ったのか、ここのところ僕の居ない時にしか顔を出さなくなったような気がする。その事を考えると異様に寂しい気持ちになったりしている。久々のこの気持ちはなんだ? もしや栞に恋心を抱いてしまっているのか?猫に恋している40歳の男を人々はどんな風に思うだろうか。もしも栞の同意のもと触れ合うことが出来たら、これは不倫という事になるのだろうか?トキロックも栞のことを懇意にしているが、恋してるという枠組みになった場合、栞に向かって「この泥棒猫め!!」と怒鳴り帰したりするのだろうか?
そんなこと考えながら、今も栞を待っている。
gigadylan
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