ぼくたちの失敗


5月に岐阜県の山間部の古民家に引っ越し
家をリノベーションしたり、木を切ったり草を刈ったり土を作ったり種を蒔いたり順風満帆な日々を送っていた。


このまま暮らしを整え、自分達のスタジオを作り
音楽活動再開へ向けてゆっくり歩みをすすめていこうとやっていたのであるが、
7月末に、またしてもトキロックの精神の病が再発。

理想に向かうトキロックと現実とのバランスを取らせようとする自分とのせめぎ合いの中、完膚なきまでに現実を叩きつけられた8月であった。
トキロックは僕から見ると理想を飛び越え妄想の世界で幻聴や幻覚に操られ、時に心身をあらゆるものに乗っ取られていた。

トキロックの持病に対する治療法のこだわりと新しい土地での病院探し、盆休みが重なり飲むべき薬の調達が難航。
余っていた薬で凌いでいたものの他人格時には薬を吐き出すことが増え徐々に悪化。8月16日からトキロックはほぼ眠らなくなる、自傷行為や急に家から出ていこうとすることが増え目を離せない状況に。互いに眠れない日々が続く。

なんとか8月18日に埼玉のかかりつけ医に電話で僕が代理診療してもらい速達で薬を送ってもらえることに。19日のお昼に薬が届き必要な薬が全て揃う。自己を取り戻すひと時があり
その時に薬も飲むことができ、昼から少し落ち着いていた。
16時半頃。「洗濯物一緒に入れよっか?」「もうちょっとあとで」という会話をした後、先日トキロックがあの木の切り方が気持ち悪いからなんとかしてと言っていた木を切りに行って戻ってきたらトキロックは居なかった。
急いで外へ。ガレージの車がない。
すぐに110し、いつもお世話になってるご近所さんのとこに行っていないか連絡。
1時間後、警察の方が来て事情聴取と行方不明届けを。2km先の川沿いのお店の駐車場にエンジン掛けっぱなしで停まっている車が発見される。
昨晩の大雨で地盤も悪く川も水量が多く視界が悪い中での捜索は困難ということで本格的な捜索は明日の朝からになると告げられる。

家に帰ってくる可能性もあるということで基本的に家に居てくださいと言われるもいてもたってもおられず現場に行かせてくださいとお願いし現場へ。
川沿いを懐中電灯で照らしながら捜索するも見つからず。消防隊の方へも捜索届けを出しに行く。
現場に戻り川沿いを下流の方へ。
川の流れを見てると悪い想像ばかり浮かぶ。絶対どこかで生きてると口に出す。あの時、目を離したことを後悔する。自分はいつも大事なとこで油断して失敗する。色んな感情が蠢く。最悪のケースを覚悟して備えようとしてる自分が嫌になる。動揺してることがわかる。手当たり次第に探し続ける。家に戻ってるかもと家に戻る。

仏壇の前でトキロックの両親に頭を下げお願いする。
疲労困憊、少し横になる。

夜が明ける。

探しに行く。
ご近所さんも朝早くから一緒に探してくれる。

午前9時に捜索本部が設置され警察、消防隊、消防団による本格的な捜索が始まる。地域の人たちも心配して来てくれる。気づけば100人体制の大捜索に。
川にボートが浮かび、空にヘリが飛び、ドローンが飛び。川沿いから山の中まで。

手掛かりを掴めないまま川を中心に捜索。

お昼前に地元消防団の方が山の中に靴下がありましたとの一報。
消防団の方が靴下と共に下山。
靴下の確認。
それはボロボロになった泥だらけの僕の靴下であった。
そう言えば昨晩、急に足が寒いと言って僕の羊毛の靴下を履いていたのを思い出す。
間違いないですと伝える。  
手掛かりなしの状況から一転。一気に事が動く。
川の捜索を引き上げ山の捜索作戦が立てられ、
午後2時に捜索再開。
自分も山に入りたいが、完全に足手まといになるだけ
。ただただ頭を下げ、宜しくお願いしますということしか出来ない。  
せめて生きていてくれればと祈る。


どれくらいの時間が経ったのか覚えていないが、
「無事、発見!」の一報が入る。
意識もあり、自分の足で歩けるとのこと。
 
心配して駆けつけてくれてそこら中の人に頭を下げお礼を言う。ご近所さんと抱き合う。

数十分後、捜索隊と共に山から降りてきたトキロックの姿はありきたりではあるが一生忘れられない、忘れてはいけない光景となる。

「ごめんね、ごめんね」というトキロックを抱きしめる。

救急隊による健康チェックを終え、皆さんに簡素な挨拶をして家へ帰る。  


生きた心地が我が家に漂い、束の間の安堵。
あまりにほっとし、何なんだこの人生は、、、
と笑いが込み上げてくる。

また生き延びさせて貰った。

気を抜くな気を抜くなと眠りにつく。

そんな8月20日を境に、服薬と安静を経て今のところ順調にトキロックは回復してきています。
今回の発症においてはトキロックの記憶にないことも多々あったり本人の体感と外側から見た客観的事実に誤差(トキロックの脳内次元との誤差)があったりとなかなか本人が自覚できてない事の対処は難しいもの(自分は大丈夫と思いたいしギリギリまでおざなりにしてしまう傾向もある)で、やはり近くにいる自分が違和感を感じた時に手を差し伸べなければと改めて思い知らされ反省してます。

秋口からいくつかライブの予定も入っておりそれに向けて今は音楽も出来るようになりました。

今のところ岐阜、大阪、東京、京都と今年、みんなに会えたらなと思っているので宜しくお願いします。そろそろ告知もちゃんとしなければ、、、。


GIGADYLAN 

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